日比谷国際ビル コンファレンス スクエア
HIBIKOKU CONFERENCE SQUARE- #リノベーション
- #フォーマル&カジュアル
- #官公庁多数利用
施設・プロジェクト概要
日比谷公園の広大な緑に面する、「日比谷国際ビル」は1981年に竣工し、周辺の複数のビルと共同開発され「日比谷シティ」として整備されました。
その8階に、アートをコンセプトとした会議室「日比谷国際ビル コンファレンス スクエア」があります。2019年からスタートした日比谷国際ビルのリニューアルプロジェクトの一環として、8階フロアを会議室&テナント専用コワーキングスペースとしてフルリノベーションが行われ、2019年9月に開業しました。
気鋭のアーティストLY(リー)が手掛けた壁画が、共有空間のラウンジだけではなく、会議室の壁一面にも広がっています。行政系のONLINE配信会議からTVドラマ、CM撮影まで、さまざまな業態の催事で利用されています。
ビル概要
住所 | 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2丁目2-3 日比谷国際ビル |
アクセス | 東京メトロ「霞ケ関」駅直結 |
敷地面積 | 約1万㎡ |
延床面積 | 約12万8,000㎡ |
規模 | 地上31階、地下5階、高さ127m |
開業 | 1981年11月 |
施設概要
用途 | コンファレンス |
部屋数 | 全6室 |
面積 | 約22㎡~290㎡ |
天井高 | 2.65m ※一部下がり天井部分を除く |
収容人数 | 最大約500名(各部屋8名~204名) |
開業 | 2019年9月 |
施設図面
施設企画・コンサルティングの特徴
築40年以上のビルリノベーションで価値あるコンファレンスを企画
プロジェクトの背景
三菱地所が保有する日比谷国際ビルは1981年に竣工し、近隣で働くビジネスパーソンであれば誰もが知っている歴史あるビルです。築年数が経過する中で、共用部のデザイン刷新や専有フロアの天高拡張など、ビルのバリューアップに向けたリノベーションプロジェクトが進行していました。
2018年晩秋、三菱地所プロパティマネジメントのご担当者様から、ビル8階の1フロアにテナント専用コワーキングスペースを新設していて、併設して企画中のコンファレンスの運営会社を探している、というご相談をいただきました。
開業は2019年秋予定で、残り期間1年を切った中でのプラン提案は、設計や工期調整の観点から非常にシビアなスケジュールでした。また、天高2,650mmというのも、大画面でのプレゼンテーションを好まれる傾向が高い中で設置可能なスクリーンサイズに制約が出るという観点で、企画検討としては懸念点でした。
一方で、霞ケ関駅に地下通路で直結し、多くの企業が集積し交通の便もよい日比谷エリアのマーケットには大きな可能性を感じていました。三菱地所PMのご担当者様も、複数の運営会社に相談をする中で、テナントにも外部の利用者にも満足度高くご利用いただけるコンファレンスを作りたいという情熱がありました。そのため、現在検討中のプランに対する営業運営視点でのアドバイスや、利用者の使い勝手を優先した設備提案を短い時間でも盛り込みました。
また、会社としてテナント専用会議室の運営経験は豊富な一方、外部向けの営業の知見が少ないという課題も抱えていました。当社であれば、サービスクオリティ面はもちろんのこと、一つひとつの運営施設個別ブランドで高稼働を達成してきた独自の営業力を生かしてオーナーに貢献できるのではと思い、当社初のリノベーション物件プロジェクトがスタートしました。
プランニング
当社にご相談をいただいたタイミングで、デザイン設計を担当する株式会社オカムラ様が企画検討の深度化を進めていました。プランニングの肝となっていたのは、アーティスのLY(リー)が描く壁画をLOUNGEだけでなく会議室内にも大きく配置し、インテリアも一般的な机や椅子ではない遊び心あふれるものを採用した「アート コンファレンス」というコンセプトでした。
築年数が経過したビルでのリノベ物件、天高も低いなどの制約が多い中で、施設の特徴づけ・魅力付けとして素晴らしい意匠設計の内容でした。オカムラのご担当者様とも検討の議論を重ねる中で、他にない空間ができ上がる期待が高まっていました。
プランニングも大詰めの状態で参画した当社からは、収益性向上に向けたレンタブル比向上のためのプラン変更策や、イベントの使い勝手を優先した映像・音響・照明設備の抜本的な改善提案などをご提案しました。
設備面の提案で特にこだわったのが、通信インフラの強化です。既存運営施設の知見を生かし、コロナ前の企画でありながらも、高速・安定・大容量・多台数接続が可能なWi-Fi設備設計や、それを支える光回線の企画を提案しました。
検討期間が短い中で「運営会社」として選定された当社からの企画変更提案は、予算調整や関係者との合意形成で高いハードルがありました。しかし、利用者様の満足度向上と、それに伴う収益拡大に寄与することを粘り強く説得し、最終的には三菱地所PMご担当者様の情熱と折衝力もあり、要望のほとんどを組み込んでいただくことができました。
開業後の評価
2019年9月の開業後、半年でコロナ禍に突入することとなりましたが、企画時に設計していた強力な通信インフラと、アートコンファレンスという配信映えする意匠デザインは時流をつかみ、当社運営施設の中でも最も早く「ONLINE配信に強いコンファレンス」という打ち出しに成功し、コロナ禍でも安定的な収益を達成することができました。
外部向け営業についても、日比谷の地域特性を生かした行政系案件の大量誘致に成功するなど、テナント向けに留まらないマーケットを開拓し、現在も高稼働を維持しています。営業力や設備提案力、それによる高稼働による高収益など、三菱地所PM様からもトータルで高いご評価をいただいています。
施設運営・マネジメントの特徴
官公庁案件の大量誘致を成功させたONLINE特化の会場企画
官公庁案件誘致のポイント
霞が関エリアに隣接する当施設は、開業前から、その立地の良さから行政系のイベントでの利用が多く見込まれると想定していました。「日比谷国際ビル」そのものが、すでに周辺の省庁の皆さまにもよく知られているビルであり、コンファレンスの名前を見るだけで「あのビルに会議室ができたんだ」とお分かりいただけます。
当社では再開発の物件にコンファレンスを開業することが多く、ビルの名称と立地を認知いただくことがスタートとなるため、すでに認知度の高いビルで開業できることは、今までにない大きな強みでした。
また、2019年に開業する前の設備設計段階より、近い将来にイベント時の大容量通信環境が必須になることを想定し、高速インターネット回線「NURO」を導入。「ONLINEイベントに強い会場」として開業しました。
その結果、開業後はコロナ禍の状況も重なり、当初の想定を遥かに上回るONLINEイベントのお問い合わせを各省庁からいただき、特に厚生労働省様には多数のご利用をいただきました。
厚労省様の利用が特に多かったのは、コロナ禍以前は省内の会議室でリアル開催されていた大人数が集まる審議会・研究会を、ONLINEとリアルのハイブリッド形式で開催する必要が生じ、さらにその会議の様子を傍聴者向けにYouTube配信することを望まれていたからです。
当時、厚生労働省様の案件を誘致できたポイントとしては、以下の3点を当施設で適えることができたことが挙げられます。
- 省庁内ではONLINE配信イベントを安定的に実施できるほどには、まだインターネット環境が整っていなかったため、通信環境を重要視して外部会議室を探されていたこと
- 三密を避けるために、省庁内の会議室では広さが足りず、広めの部屋をお探しだったこと
- 前述で触れた、ハイブリッド会議をYouTubeで配信するという、技術的に高難易度なONLINE配信を、当施設が満足度高く提供できたこと
現在も当施設にて、このハイブリッド会議+YouTube配信というパッケージプランは、継続してご利用いただいています。審議会には全国から専門家の参加があること、傍聴者も全国にいることから、このようなハイブリッド会議のスタイルは、今後も続いていくものと考えています。
部署移動の多さへの積極的なフォロー
継続的なご利用に繋げるための当社の工夫として、省庁特有の部署異動の多さへの積極的なフォローの仕組みを構築しています。具体的には、省庁では各部署の担当者が、1~2年ほどの短いスパンで異動されます。そのため年度末には、各ご担当者様に、当社から次年度の体制について様子をお伺いし、異動があれば現担当者から新担当者への引き継ぎの際に訪問して、配信パッケージプランのご案内や、今後の年間スケジュールのお伺いなどを実施しています。
省庁の職員の皆さまは大変多忙であり、短いスパンで異動があるからこそ、前任の担当者様から「この審議会のハイブリッド会議については、インフィールドさんに聞けば大丈夫」というご紹介をいただくことが、何よりの営業活動となります。そのため、当社では、その築いた信頼関係を大切に育み、安心して頼っていただけるような運営体制の継続を目指しています。
コロナ禍を乗り越えるため、全社員の技術提案力を向上させる研修を内製化
ONLINE配信イベントを誘致する上での強み
前述の通り、コロナ禍に入る前から大容量のONLINE会議にも対応できる通信環境を備えており、多くのONLINE配信イベントを誘致できた当施設では、小部屋以外の全部屋に整備していた高速インターネット回線NUROに追加して、バックアップ回線としてUCOM光の単独回線を設置。
これにより、さらに盤石なインターネット環境が整い、著名人が出演して何万人もの視聴者がいるようなONLINEイベントや、e-sportsの大会にもご利用いただくなど、実績を積み重ねていくことができました。
例えば、お菓子メーカー様主催のプレス向け新商品発表会イベントでは、プレス向けはZoom配信、一般消費者向けはFacebookライブ配信と、異なる配信フォーマットを使い分けてイベントを成功に導きました。
当施設を選定された理由としては、インターネット環境の盤石さに加えて、一般消費者向けの配信も兼ねていたので、当施設の特徴的なデザイン、アート壁画、木フローリング、スケルトン天井というカジュアルな設えや木製のスツール、L字型のカラフルな椅子など、おしゃれな家具がイベントの内容にマッチするいうことでした。
このような、ONLINE配信の「画」の差別化、「ただの白い壁」を背景にしたくない、画にオリジナリティを出したい、というニーズに対しても、当施設は強みを発揮しています。
また、「ONLINEイベントに強い会場」として求められる機材を購入し、当施設スタッフの配信知識の向上についても、当社全スタッフの技術力向上のための研修を実施。Zoom、Teamsなどの各種プラットフォームの使い方、配信機材との接続方法などの実技も踏まえた研修は、何度も開催されています。その講師役は、インフィールド社内で、コロナ禍で速やかに新たな事業部として立ち上げた、「ONLINE配信サポート事業部」の社員が担いました。
利用者のニーズに合わせたONLINE配信の対応
営業面では、施設WEBサイトに「ONLINE配信ページ」を新たに制作して、ONLINEイベントの訴求につなげました。ページの冒頭には「5つの安心ポイント」として、大切なONLINEイベントをしっかりサポートできる体制が整備されていることを説明したり、「開催までの流れ」や「よくあるご質問」の項目も設け、定型的な内容ではなく、配信プラン内容の詳細を分かりやすくご理解いただけるように工夫を凝らしました。
そのほか、レンタルすると高額になりがちなONLINE機材に対し、施設保有の機材をリーズナブルに利用できる料金プランを設定したり、配信機材の構成を、シンプルで分かりやすいイメージ図を作成し、お客様が一番重要視している実際に配信される「画」がどのように映るのかも画像付きで説明するなど、ご利用者様目線で、コストパフォーマンス良く、分かりやすくご案内できるようにしました。
施設保有の機材でリーズナブルに配信したり、プロの配信業者と連携してハイレベルな配信にしたりと、ケースバイケースで施設スタッフがしっかりと対応できることで、顧客満足度の向上にもつながっています。
今後は、ONLINEのみを取り扱うイベントは少なくなる一方で、前述の厚労省様のように、リアルなイベントとONLINEを組み合わせた「ハイブリッドイベント」は一定数の需要が継続すると考えています。現在までの経験と実績を生かして、今後も多様化するイベントへ対応できる環境を整備していきたいと思います。
実施イベント
運営チームからのメッセージ
チーフマネージャー 五道 祥子
リノベーション案件は当社初の試みで、築年数40年以上、天高も低く、会場全体にアーティストによる壁画を配置するというある主実験的な仕掛けもあり、お客様に果たして受け入れてもらえるのか、完成形がイメージしにくい中で企画が進んでいました。
しかし、リノベーションされた会場を目の当たりにした時、フォーマルとカジュアルの異なる洗練されたデザインや遊び心のある空間設計に胸が高鳴りました。また、築年数を感じさせないどころか、コロナ禍を見据えたかのような通信設備やカジュアルデザインの会議室は、結果として先見性の高い企画となりました。
「会議室という固いイメージを払拭し、アートと融合した会場」として、新たな魅力溢れる会場に生まれ変わりました。「人が集まる」ことの重要性が再認識された今だからこそ、スムーズなONLINE配信を強力にサポートしつつ、自然とコミュニケーションが生まれるような会場づくり・お客様の気持ちに寄り添う運営をこれからも続けていきます。
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