100%売上歩合は覚悟が違う。
運命共同体として
同じ目線でいてくれる運営会社
Date
2024.09.30
facility
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス
「東京虎ノ門グローバルスクエア」は、国際新都心としてさらなる進化を遂げる虎ノ門の国家戦略特区エリアに2020年6月に竣工した。東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅直結で、外堀通り・桜田通りが交差する虎ノ門交差点に隣接する、虎ノ門のランドマークビルである。
このビルの4階には、インフィールドが運営を受託するコンファレンス「東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス」が企画された。本インタビューでは、その開業に携わった2人に、当施設の企画段階からコロナ禍での開業、運営の裏側について聞いた。
PROFILE
野村不動産株式会社
都市開発第一事業本部 運営事業一部
運営一課
課長
日高 俊和 様
東京虎ノ門グローバルスクエアの開業と運営に2019年から従事。
株式会社インフィールド
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス
マネージャー
古田 朝美
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンスの企画段階から本プロジェクトに参画。
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンスの開発背景
東京虎ノ門グローバルスクエアは、どのような思いで始まった再開発プロジェクトですか?
野村不動産 日高様:
以下、野村不動産 日高
東京虎ノ門グローバルスクエアは、当社にとっては久しぶりのオフィス・事務所用途を中心とした大規模再開発事業でした。この後に予定している都心での大規模再開発プロジェクトにつなげていくため、このプロジェクトをしっかり成功させるんだという使命感が、当社の中でも強かったと認識しています。
地権者をはじめ共同事業者の方々も、このビル・このプロジェクトにかける思いは特別なものがありました。しっかりとした建物を作りたい、ハイグレードな品格・質感・機能性を目指し、地域に誇れるものを作りたい、そんな思いを社内外全てのステークホルダーの方々と共有していました。
INFIELD 古田:
建築当時、近くを通るたびに「きれいなビルだな」と感じており、お客様にこの会場をご案内することを楽しみに営業していたのが懐かしいです。今回の再開発ではどのような目的でコンファレンスを作ったのですか?
野村不動産 日高:
再開発のさまざまな要件のひとつとして誘導用途を設ける必要があり、そこで選択したのが、地域の方々も使用でき、ビルの付加価値向上にもつながるコンファレンスでした。オフィスの方にとって使いやすい会議室というのはもちろんですが、地域のためにも、ビル全体の目指すグレード感に沿って、コンファレンスもしっかり誇れるものを作ろう、ということだったかと思います。
野村不動産様とインフィールドはどのようなきっかけで出会い、なぜ運営を任せることになったのですか?
野村不動産 日高:
コンファレンスの運営会社選定は、私ではなく企画担当の眞島が行いました。さまざまな運営会社を探す中で、実際に御社の運営施設を内覧させていただいて、御社であれば、当社が目指す上質なサービスを、一緒に実現できるのではないかと感じたそうです。
特に、コンファレンスに対するプロフェッショナルな意識の高さが印象的だったようです。施設計画における顧客目線の設備提案や、小規模施設でありながら正社員を複数名常駐させる運営クオリティへのこだわりなど、対話を重ねる中で眞島も「インフィールドさんがいい!」という気持ちが高まっていったようです。
競合他社や既存の取引先もある中で、比較検討はさせていただきました。検討を重ねた結果、やはり御社にお任せしたいという結論に至ったのは、運営に対する思いをお聞きしたり、さまざまなやり取りを重ねる中で醸成された信頼感、これが1番の理由だと思います。
INFIELD 古田:
日高さんがプロジェクトに参画されたのは運営会社選定後の、開業1年ちょっと前だったと思います。ご一緒にお仕事をさせていただくようになって、細かいレポートを毎月ご提出したり、開業に向けて密に打ち合わせさせていただいたと思います。 当時のインフィールドの第一印象はありますか?
野村不動産 日高:
私も、「かなりこだわる人たちだな」という印象を受けました。正式にインフィールドに運営を任せることが決まったのは、実施設計も終わってビルが立ち上がっていくタイミングでした。それでも、設備のスペックや機器の配置のやり方とか、設計や施工の詳細までかなり入ってきていただいていて、よりよい施設を目指すために、かなり強くいろいろなご指摘をいただきました。
その提案の仕方が、「お客様のイベント成功のためには、これが絶対にいいんです」と、かなりの熱量を持ってお伝えいただいていたので、施工会社や設計事務所の方々に対しても、当社として強く依頼ができました。
例えば「できたらこうなりませんか」「とりあえず言ってみました」みたいな話だと、こちらも強い意志を持って依頼できないし調整もできない。そこが叶ったのは、やっぱり現場を預かっていただく責任感で、インフィールドが具体的で強い発信をしていただけたからだったと思います。
照明の配列の切り方や、投射の角度とか、細かいところまで見てくださっていたのが印象深いです。設備や家具ひとつ選ぶにしても、かなりこだわって選んでいただいたんだなと思いました。
INFIELD 古田:
相当、眞島さんにご迷惑をかけたので、社内でも申し訳なかったなと思いつつも、おかげですごく運営しやすく、お客様から喜ばれる会場になりました。ありがとうございました!
2020年7月 コロナ禍で混乱の開業
開業時期がコロナ禍が始まった時期でした。どのような思いで開業を迎えましたか?
野村不動産 日高:
まさにもう混乱が始まったところで、まずビルがきちんと竣工するのかというのが一番の心配でした。予定通り2020年6月30日に建物の竣工を迎えられるのか、資材が入ってくるのか、竣工後の各種テナント工事ができるのか、日々不安な状況でした。開業に向けたさまざまなオーダーを施工会社へするのですが、職人さんの手配も含めてできるか分からない。竣工が間に合うのか、開業が間に合うのか、ハード面で不安な状況でした。
また、2020年春はステイホームが言われた時期で、外出してはいけない世の中になっていました。行政が強く指導して、家にいてくださいと。多くの企業が在宅勤務を言い始めた春から夏、大きな環境変化の中で開業を迎え、人が集まる会議室は大丈夫だろうかと、スタートの時点では不安が大きかったというのが正直な気持ちでしたね。
INFIELD 古田:
内覧会の開催もとても迷いました。コロナ禍で初の内覧会だったので、時間ごとに区切って人数制限をしたり、体温を測定するサーマルカメラを手配したり、最後まで本当に開催するのかも社内でもかなり議論がありました。クラスターが発生したらどうするんだみたいな。毎日、感染者数の推移とにらめっこしていました。2020年は当社全体がコロナの影響で非常に苦しい年でしたが、虎ノ門も開業1年目として、野村不動産様と目指した目標の数字に届きませんでした。
野村不動産 日高:
初年度の数字については、会社の上層部は思うところがあったかもしれませんが(笑)。 でもその中で、できることを見つけて、しっかりやっていただいたと思います。ここ虎ノ門だけではなく当社に限らず全ての施設が同様に、コロナに直面してミーティングが開かれず混乱した時期でした。
当時の環境下で、できる限り情報収集に努め、取り得る手法を提案し実行していただく。現実的な修正目標値はどの水準か、回復に向けてのシナリオは、など、密にコミュニケーションを取れていたので、その点では大きな不安はなかったです。現実を見つめて、できることをやりましょうと。コロナによる混沌の中でもインフィールドはしっかり動いてくださった印象で、とても頼もしく感じていました。
INFIELD 古田:
インフィールドの頼もしさは、どのあたりから感じられたのでしょうか?
野村不動産 日高:
常日頃から、こういうことをやろうと思ってるとか、こういう案件があるんだけれどどうにかできないだろうかとか、そういった一つひとつのやり取りの積み重ねですね。
月に1回開催している月次報告も、いわゆる形通りのレポートで終わらないところがいいのかもしれません。「今月の売上はこうでした。来月以降の予約状況はこうです。以上」というレポートで終わらせようと思えば終わらせられると思います。ただ毎月、そうじゃない話をしてる時間の方が長いです。
今のこの傾向を受けてどう稼働を上げていくのか、今後こういう施策をやっていけたらどうだろう、そのためにビル側がここを改善できたらもっと良くなる、そのようなお話をフランクにいただける対話の積み重ねでも頼もしさを感じています。ビル側として、なかなか応えられてない話も多いですが…。
INFIELD 古田:
そんなことはないです! 相当協力的にやっていただいていますよ!
野村不動産 日高:
喫煙所から匂いがまだ漏れますよとか、エレベーターの待ち時間なかなか解消されませんねとか…。
INFIELD 古田:
それは…! 今後も改善検討をお願いします!(笑)
運営のリアル、
インフィールドは無茶振りが多い会社?
日々の運営の中で、インフィールドからの相談や提案で印象に残っていることはありますか?
INFIELD 古田:
例えばこのイベントをお客さんがやりたいと言っているから、ここをなんとかして欲しいみたいな、イベント一つひとつに対するご相談もたくさんしていると思います。そのような依頼自体が珍しいですか?
野村不動産 日高:
他社と比べて、というのはなかなか難しいのですが、フランクにご相談をいただけているんだろうなと思います。
例えば、ハード面だったり、ビルの運用ルールだったり、何らかの制約があって、 お客様からのご要望も聞いた時点で無理だと判断してしまう、それは無理ですとかそこまではできませんとかで断ってしまう運営会社さんもいると思うんです。ですが一旦受けとめて、なんとかならないかなって思っていただけるところは、御社だからなのか、この施設をご担当いただく皆さまの中で受け継いでいるものなのか、いずれにせよ現場をお任せしている私としては、ありがたく感じています。
INFIELD 古田:
具体例を挙げると、コンファレンス専用のエレベーターは1基だけですが、一度に大人数がいらっしゃるイベントでどうしても迅速に入場させたいというお客様の強いご要望がありました。そこで、日高さんに相談して、一定の条件を付けた上でテナントさんしか使えないルートのエレベーターを一時的に使わせてもらった、みたいなエピソードはしょっちゅうあります。
来年の4月の車のディーラー様の入社式では、「入社する新入社員に自社の車を見せたい」というご要望がありました。コンファレンスは4階で当然車両の搬入は難しく、公開空地に車両を入れるわけにもいかず。いろいろ検討した結果、このビルの非常にかっこいい車寄せをなんとか活用できないか?というご相談をダメ元でさせていただいたら、なんと奇跡的に「なんとかなります!」と日高さんが調整してくださいました。あれには驚きましたが、とても嬉しかったです!
野村不動産 日高:
当然車寄せですので、ショールームスペースじゃないんですけどね(笑)。ビルのルールと現場の運用の折り合いがつくところを探しました。車のディーラーさんが新入社員の方に自社の扱う車を見せたいという要望に対して、「そんなスペースはありません」っていうのは、教科書通りの回答だと思います。でも、インフィールドは「そこをなんとかなりませんか」って相談してくれる。
もちろん100パーセントその要求を受け入れてはいないんです。やれるとしたら、この場所のこの限られた時間の中で、このやり方を守ってもらえるんだったら、ビルの運用ルールの中でできるから、と。 あとは古田さんがお客様と「この範囲だったらできますが…」という風に、施設側の事情も丁寧に説明してお客様にご理解いただいたと思うんですね。
先ほどのエレベーターのお話もそうです。エレベーターは複数台あるのでもう少し柔軟に使えるのが理想ではあるのですが、コンファレンスのお客様が使えるのは1台しかありません。テナント専用エレベーターも時間帯によってフリーにしたいのですが、完全フリーにはルール上も運用上もできない。しかし、誘導員の配置や、お客様にも一定程度の制約とご負担を受け入れてもらうことで、なんとか調整することができた事案でした。やはりビルもフルオープンにはできないので、インフィールドが主催者の方に協力を仰ぐよう調整をしていただいたから実現できたのかなと思います。
INFIELD 古田:
日高さんもビル全体を巻き込んで一緒に売ろうとしてくださるところに、いつも感謝しています。この案件はお客様のやりたい思いがこれだけあって、売上もしっかりついてきて、とても楽しいから取りたいですというのを、私たちと同じ熱量で推進してくださることをすごく私は頼りにさせてもらっていて。「ご相談した案件、決まりましたよ!」っていうのを早く言いたいと思っています。だから、無茶振りと思いつつも、いろいろ相談してしまっています(笑)。
野村不動産 日高:
お客様の本当のニーズ、本当にやりたいこととか、絶対に守らないといけないこととか、そこをきちんとお客様の立場に立って提案して、話を詳細まで詰めていただけているなと、それは日々の御社とのやりとりで感じています。私とこのような形で、「そこをどうにか」と深掘りしたやり取りをしているので、それはお客様に対しても同じだろうと。そういう安心感は非常にあります。無茶な話を聞けば聞くほど(笑)、こちら側の立場もちゃんと分かって、お客様と詰めてお話していただけているのだろうと。
トラブルをチャンスに変えた吸音ブラインドの導入
会場を運営する中でのトラブルなどがあれば教えてください。
INFIELD 古田:
この会場がちょうど大きい通りに面していて、メーデーにデモ行進があったんですよね。年間で多数ご利用いただいているリピーターのお客様の利用時がちょうどメーデーで、最寄りの交差点でデモ隊行進で拡声器を使用して、かなりの騒音が瞬間的に発生してしまい、配信イベントだったので配信にも一瞬音が入っておやおや?ということがありました。
ただ、このお客様を離してはいけない、信頼を回復したいということで、なんとかハード面の防音性能を向上させられないか社内で検討を開始しました。ビルの窓面の防音機能としては、設計的にも建築的にも必要な与件は当然十分に満たしていて、デモ行進の拡声器の音を防ぐレベルの防音は、通常の設計では想定しないのは承知の上で、それでも何か手を打てないかと、さまざまなメーカーと相談しました。
そんな中で、デザイン性と遮音性を両立した吸音ブラインドを見つけて、日高さんと一緒に実際にその商品が設置された施設を見学に行って、すぐに取り付けていただくことができました。ものすごく迅速に動いていただいたので、そのお客様の次のご利用時に見せることができて、対策のご説明をしたらとても喜んでくださって。
野村不動産 日高:
それをお客さんに100%アピールして、リピーターとしてつなぎとめていただけるので、当社も追加投資した甲斐があります。2020年竣工のビルなので、遮音性能はしっかりしていて、ハード面では高い基準で建てているので何の問題もありません。
ただ、外でデモ隊が拡声器を使って声を上げれば、どんな建物でも室内である程度の騒音は避けられません。それを許容できない場合は、防音室を使ってくださいと伝えるのがおそらく教科書通りの回答だと思います。でも、インフィールドはそうじゃない。なんとかできないかと。
当時、そのご相談をいただいて担当として思ったのは、一人のお客様がそれを指摘した、事象として現れたのは氷山の一角だと思うので、潜在的に不満を抱きながら言わずに帰られたり、将来の不満の予備軍になる層がその下にたくさんいるのではないか、ということです。設備のスペックは十分でほとんどの時間帯は問題ないとは言え、特に需要が高い配信イベントの重要な場面で、今回の事例のように、ピンポイントで問題が発生するというのは、今後も起こり得るなと。
また、追加で設置する商品選定の過程でも、インフィールドの施設へのこだわりが感じられました。施設全体で見ると軽微な変更のため、施設マネージャーの古田さんに任せるぐらいの話かなと思っていたんですよ。そうしたら執行役員の中村さんが他施設のマネージャーも連れて見に来て、実際に音の具合もそうですが、ブラインドは窓面の大きな面積を占めるため、色、素材、質感などの影響についても細かくチェックされて、普段にこやかな中村さんがとても真剣な目で、皆さまと打ち合わせされて、これなら大丈夫だと。
こういう言い方は良くないかもしれないですが、たくさんある御社の運営施設の中のひとつなのは否めないと思うんです。ですが、会社の責任者の方まで出てきて、この細かいところにまで会社として対応していただけるといいますか、関心を強く持っていただけるというところは、こだわりの強さを感じますね。
INFIELD 古田:
今もそのお客様はリピートしてくださっています。吸音ブラインドをお見せしたときは、「そんなことやってくれちゃうんですか!?本当に気にしてなかったし、あの時なんとかなったのにこんなに具体的に動いてくれると思わなかったから…ずっと使います!(笑)」と言ってくださいました。マイナスやトラブルをそのままにせず、できることをビル全体・施設全体で迅速に動いたことで、お客様の満足度をマイナスからプラスに変換できた良い例だと思います。
高稼働を達成するための営業活動について
インフィールドはどのような営業活動を行っていますか?
INFIELD 古田:
当社は自分たちの統一ブランドを持たずに、オーナーのビル名を冠した単独ブランドで施設を営業しています。そのため、施設一つひとつの立地条件、コンセプト、ターゲット、会場の商品特性・設備特性などの個別条件に合わせて、その施設ごとに最適化した営業戦略を立案しています。施設が巡航的な安定稼働に乗るのはおおむね3〜5年目で、そのタイミングでは手厚いサービスの積み重ねにより、リピーターの割合が70〜80%に達することがほとんどです。
一方で、新規顧客を獲得するために、パートナー企業と組んでSEOやリスティングなどのさまざまなWEB広告を組み合わせたWEB施策も展開します。そして、お客様が会場を知って最初に目にする施設WEBサイトのブラッシュアップを続けて問い合わせにつなげる、ということをひたすら繰り返します。
虎ノ門開業時はコロナ禍で、今までと顧客の行動が一変してしまいました。リアルイベント需要が激減し、ONLINE会議に移行していたため、ONLINEセミナー開催の情報を探して、その問い合わせアドレスなどに「ONLINE配信に強い会場が誕生しました!ぜひご利用ください!」といった営業メールをコツコツ送るということもやっていました。特にエリア的に省庁街に隣接していて、行政系イベントの需要は多いという確信もあったので、イベント主催の担当者様となんとかつながりたい、という気持ちで毎日メールを送っていましたね。
野村不動産 日高:
市場環境が激変する中でもできることをなさっていましたよね。でも、とても地道な作業ですよね。
INFIELD 古田:
はい、あれは大変でした。新規施設で、コロナ禍で、今の環境下で、この施設は誰に刺さるんだろう?誰が必要としてくれるんだろう?と、自問自答しながらの毎日でした。でもそこから大きな行政系案件がひとつ取れて、そこでのイベント成功が省庁内で口コミで広がっていき、今ではこの会場の最大顧客のひとつになってくださっているので、本当に地道に頑張って良かったなと感じています。
そのお客様は、ご利用事例としてWEBサイトにも掲載許可をいただいて、リアル×ONLINEのハイブリッドイベントでZoomでやり取りしている画面をYouTubeで配信するというのがスタンダードだったのですが、そのやり方をするのであれば虎ノ門がいいよということを打ち出すために訴求ページを作り込みました。実際にそのページを見て同じように実施したいという新規のお客様もいらっしゃって、どんどん広がっていきました。
野村不動産 日高:
WEBサイトのキャッチコピー変更や、小さなリニューアル、追加情報掲載など、ご提案の頻度が非常に高いと感じます。実際にご利用されたお客様の声を、常駐してくださっているインフィールドの虎ノ門チームの皆さまがどんどんカタチにしていっているんだろうなと思います。WEBサイト改善に限らず、新しい会場検索サイト掲載のご提案なども多いです。
日頃からアンテナを張り、提案のヒントとなる情報をしっかり収集している。既存の状態に満足しておられない。 もっと改善できるところはないのか、という意識を常に持っていただいている。
現状のこの稼働率、この料金収入があって、毎月レポートを野村不動産に送ってるから、それでいいや、と思ってしまったらそこで終わるんですけど、ここをこうすればもっと良くなるんじゃないかという視点でいろんなものを見ていただける。リニューアルするから予算をお願いしますというのも、そこは私がなんとかできる金額の範囲に収めていただけていますので、ありがたいです(笑)。
2023年度の実績への評価
2023年度はコロナの5類移行もありイベント需要が戻ってきました。インフィールドの売上実績の評価を教えてください。
野村不動産 日高:
野村不動産としては、目標達成という意味では、コロナ禍を経て、改めて施設を巡航稼働の数字に持っていくための水準を御社とすり合わせさせていただきました。その目標を、前倒しで達成していただけたのが2023年度でしたので、そこは非常にありがたかったです。 目標を上回る成果を達成していただいて、これから今年度以降も引き続き現状の高い稼働を維持するための努力をしていただき、私たちも一緒に努力していきたいというのが、会社としての思いです。
一方で、担当としては、こんなに現場をキツキツで回していて大丈夫ですか?という気持ちが正直あります(笑)。コロナ禍で開業直後の低空飛行だった稼働率が、一気に対前年140%近い伸びを見せて、月によっては前年同月比160%超えをバンバン出していただいて。BtoBイベントがメインの施設ですから、ウイークデーで言うと6割7割稼働している。仮予約を入れると、8割9割が平日なんらか入っているっていう状態なんです。
実際に私もこの施設を担当させていただくようになって、施設の稼働状況と月次の数字をご報告いただくようになって、実際に目標として掲げている数字や、100%満床を目指すオフィステナントリーシングと比較すると空いているじゃないと見えてしまいますが、この数字を結果として残すために、現場がどれだけ回転しているのか、お客様とのやり取りの中でどれだけの見込み顧客として確保していて、その見込み顧客を確保するためにどれだけの母数のお客様とリレーションを保っているか、そこまで広げていってみると、この数字をこの会場で叩き出そうと思ったら、もう毎日フル回転していないといけないという状況になっているなというのは昨年度感じました。
当社としては、この目標をこれからも維持して欲しいのですが、この数字を達成し続けるのってすごく大変なことなんだなと思います。数字だけではなく、1件1件のクオリティも含めて、事故なく回すのはとても大変だと思います。1日2回転とかも平気でやっていただいていますが、それを毎日続けていくとなると、運営ノウハウが相当高い中で現場を上手くやりくりしていただける方でないと難しいだろうと感じました。
INFIELD 古田:
正直に申し上げますと、とても大変なんですけど(笑)。でもそれが楽しかったり、なんとか施設を知ってもらって、いろいろなご提案をしてこの会場に決めてもらって、お客様のイベントが成功に終わって、主催者の皆さまと終わった後に一緒に笑い合える時間が何よりもやりがいにつながっています。虎ノ門は部屋数も少ないため制約も多く、お客様の協力がないとできないこともあるのですが、そこも含めて一緒にイベントを作っていく、乗り越えていく楽しみがあります。
私自身、虎ノ門の会場の立ち上げから携わって、この会場が大好きなんです。たくさん使っていただけると、うれしいんですよね。逆に使ってもらえなくなると寂しくなってしまうので、このように日高さんに言っていただけると、もっと頑張っちゃう!という気持ちです。
野村不動産 日高:
制約はある中で、古田さんをはじめ虎ノ門チームの皆さまが最大限努力してくださって、エレベーターが足りないと仰っていたお客様もまた使ってくださっていますし、騒音トラブルのあったお客様もリピートが止まっていない。きちんとリカバリーして、トラブルもきちんと施設として改善するきっかけにしてくださいますし、お客様との信頼関係をさらに高めるきっかけにしていただけるので、トラブルをチャンスにしていただいてるというのは、結果が物語っていると思います。
いわゆる、委託者や受託者といった枠を超えた、「当事者意識」を皆さま発揮されていると感じています。それはマネージャーの古田さんもそうですし、現場の皆さまもそうです。やらされているという意識は全くなく、当事者として誰よりも一番この施設のことを考えてくれているという。そこまでやってインフィールドはもうけがあるんですか?とこちらが心配しています(笑)。
ビルテナント誘致への貢献度について
近年、ビルテナント誘致の魅力付けとして、コンファレンス施設の重要性が高まっていると感じていますが、いかがですか?
野村不動産 日高:
私は、かなりプラスになっていると思っています。比率にすると外部利用が多いのであまり偉そうには言えないのですが、ビルテナント様にもご利用いただいています。
例えば、「野村コンファレンスプラザ 新宿」は我々のビルの中にありますが、テナント様の利用率は非常に高いです。ビルの周りにもいろいろなホールは多くありますが、どの会社さんもやはり同じ建物の中で完結できるのが一番良いと仰います。そういう意味では、このビルに入居される方にとって、ビルの中にコンファレンスがあるのは、入居を決める際の大きな判断材料になっていると思います。
オフィスビルとしてハイグレードなものを求めてこのビルに入居してくださる方に対し、ご要望に応えきちんとご評価いただけるものを提供する必要がございます。ハード面・ソフト面共にこのビルにふさわしいコンファレンスがあることは、テナント様にとってプラスになり、ビルの魅力になっていると思います。
テナント様のご利用は、テナント優待的なマニアックなご要望が出ることもあり、私から古田さん達にご依頼することもあります。決して普段の無茶振りの仕返しではないのですが(笑)。
コストにシビアなテナント様が料金表を見て高いと言われたのですが、蓋を開けてみると予約して何度も使ってくださっているんですよ。単純に値段だけではないと判断してリピートしていただけるのは、そこを乗り越えるインフィールドの営業力・運営力でカバーしていただけているのかなと思っています。
インフィールドを他部署にどう紹介するか
インフィールドを社内の開発を担う他部署や担当者に紹介する場合、どんな会社だと紹介しますか?
野村不動産 日高:
まず、その紹介をする相手が何を求めているかというのが重要だと思います。例えばこのビルのように、旗艦ビルとしてしっかり保有し運営していく、そういう位置付けを持っている建物の開発であれば、「運営クオリティと収益性をきちんと維持しながら、お客様やビルとのリレーションをしっかり作って運営できる会社さん」だと紹介できます。実績をきちんと残していただいているので、安心できますよ、と。
あとは、インフィールドが我々と同じ目線に立って営業のいろいろなお話ができるのは、インフィールドの報酬体系によるところも大きいと思います。そこがインフィールドの覚悟の表れなんだろうと思っています。100%完全歩合じゃないですか。コンファレンスの売上が0だったらインフィールドの売上もゼロですし、固定費だけ持ち出しになってしまう。そういう報酬体系で引き受けていただけているところが決意の現れ。結果、運命共同体になっているので、同じ目線でいろいろなお話ができますよね。
報酬体系の業界スタンダードが何かは分かりませんが、受託者側にとっては「最低限必要な人件費などのコストは固定で必要です、プラスアルファの部分をインセンティブで分けましょう」という引き受け方をしたいでしょうし、一方でそれは施設を保有する側として取らないといけないリスクだとも思うんです。そんな中でインフィールドは100%、一蓮托生の契約を結んでいただけてるので、そういう意味でも安心してお任せできる。言葉だけではなくて、報酬体系でも表してくださっているのは、安心できる相手ですよっていう証拠というか、裏付けだと思います。
INFIELD 古田:
完全歩合で、ビルオーナーと同じ目線に立って施設を共に作っていくというのは、私たちの会社の根幹なんです。ある程度の固定費をもらってしまうと、もらった分しか働かないというか、そこまでしかやらないというのは人間の本音といいますか。当社の報酬体系を「覚悟の表れ」と言っていただけるのは、なんだか誇らしく感じます。
インフィールドの課題と今後の展望
ポジティブな評価が多い印象のインフィールドですが、課題はありますか?
野村不動産 日高:
期待したいもの、勝手ながら望んでいるものですが、この施設個別の絶対値としての情報は毎月きちっとレポートいただけて分析して吸い上げてくださっているんですけど、この施設の現在の立ち位置って全体のカンファレンスのマーケット全体から見て、どういうものなのか、都心3区や首都圏全体のもう少し広い視点の中で、他施設や業界トレンドと比較した客観的なデータ分析なども、インフィールドの幅広いご経験の中からいただけると、大変助かります。
虎ノ門だけの話ではなくて、いろいろな施設ごとの相対的な評価やアドバイスをご相談できるような関係性でいられたらいいなと思っています。そうした知見を、今後我々が開発をしていくプロジェクトの中で、また違うターゲット・規模・立地のコンファレンスを考えていく参考にさせていただきたい。それぐらい施設を我々も増やせるといいな、とも思います。コンファレンスの専門会社としての分析や戦略をもっと勉強させてもらいたいというのが希望です。
INFIELD 古田:
ありがとうございます。そうした領域もご提案できるように精進します!
野村不動産 日高:
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンスは、厳しい時代を経て築いてきた基盤を引き続き守り、現在の高稼働と高いサービスを維持していきたいと思っています。そして願わくば、我々がもっといろいろな施設を保有できるようになって、虎ノ門のお客様を面で広げていけるような、それもコンファレンスに限らずあらゆる分野で、事業領域の拡大という観点でやっていけたらなと思っています。
品質の高いサービスを提供するというところは、どこの事業領域でも野村不動産の中では守っている部分です。期待を裏切らない高品質なサービスをこの虎ノ門で経験してくださっているお客様に、違う事業領域でも同じように価値を体験していただきたいですし、その中のひとつに、やっぱり次の施設もインフィールドとご一緒できるといいなと思います。次へ次へと発展する、そういうデベロッパーになれるように…というのが個人的な思いです。
とは言え、「早く次作ってください!…って、作ったのはいいけど、他社運営じゃないですか!」となってしまったらすみません(笑)。