STORY2
日鉄興和不動産 INFIELD

開業から7年、
赤坂インターシティコンファレンスの
現在と未来

Date

2024.09.30

facility

赤坂インターシティコンファレンス

赤坂インターシティAIRは、国際戦略総合特別区域の「アジアヘッドクォーター特区」や、都市再生緊急整備地域に位置する再開発事業として、2017年9月に開業した。東京メトロ「溜池山王」駅と円滑に連携した新たな駅前拠点ゾーンとして、業務・商業・住宅が融合した魅力ある複合市街地を形成することを目指している。

その3階・4階には、インフィールドが運営を受託する「赤坂インターシティコンファレンス(以下AICC)」が設置された。本インタビューでは、AICCの運営に携わる関係者に、国際水準のコンファレンスを目指す中での開業から7年間の軌跡を聞いた。

※施設開業までのインタビューに関してはこちらの記事をご覧ください。

PROFILE

日鉄興和不動産グループ
赤坂インターシティマネジメント株式会社

取締役施設マネジメント部長

兼 住宅推進部長、総務部担当部長

柴﨑 拓也 様

2013年から赤坂インターシティAIRの開発を担当。

株式会社インフィールド

赤坂インターシティコンファレンス

チーフマネージャー
 

小池 陽子

赤坂インターシティコンファレンスの運営段階から本プロジェクトに参画。

株式会社インフィールド

執行役員
 

 

中村 仁

インフィールドが企画・運営する全物件の立上げを担当。本プロジェクトも企画段階から責任者として参画。

※所属・役職はインタビュー当時のもの

コロナ禍を乗り越えた
赤坂インターシティコンファレンスの運営体制

現在のAICCの運営体制を教えてください。

日鉄興和不動産 柴﨑様:

以下、日鉄興和不動産 柴﨑

デベロッパーである私たちが建物を作り、建物全体を運営していく中で非常に重要な要素である赤坂インターシティコンファレンスの部分を、インフィールドに業務委託しています。開業して7年目なんですが、コンファレンスのオペレーションは自分たちだけではできないので、プロフェッショナルであるインフィールドにまずお願いするのが大前提で、信頼してお任せしています。

それを建物のオーナーとして私たちが全面的にサポートしていて、お金の面では、目標とする数字について一緒に話し合いしながら、営業政策を考えて数字を積み重ねていくことをしています。

物質的な面でのサポートは、コンファレンスのフロアだけで完結しないこと、例えば、搬入や搬出、人の動線、VIPが来る際の車寄せからの対応など、建物全体をマネジメントする側としてできることをサポートしています。土台は私たちがしっかり支えていますので、その上でダンスをしていただいているのがインフィールド、みたいな関係で、目標に向かって、密なコミュニケーションを取りながら進んでいます。

INFIELD 小池:

より良い会場を目指すために、AICCでは毎週ベースで定例会を実施しています。この1週間にご利用があったお客様のトピックスや、このビルのテナント様、近隣の企業様について、柴﨑さんたちにも情報共有を常にしています。また、これから直近1週間に予約が入っているお客様や、先々のご予約でも注目すべきお客様、今後長くお付き合いしていきたいお客様のトピックスについて都度報告しています。

日鉄興和不動産 柴﨑:

収支計画の作成は一緒にやっています。ベースはインフィールドの知見をもとに作成しています。7年前に竣工した時に立てた計画があり、それに向かって登っていくんだと。コンファレンスの運営を続けることを登山に例えるなら、「エベレストに登るのか筑波山に登るのか、最終目的地を決めようぜ」と。チームみんなでエベレストに行くと決めたから、そのためのクオリティを用意して、高い数字を設定しました。

その数字は、今では達成するところまで来ています。そして、当初目標よりもさらに上を目指すことを最近、インフィールドと協議して決めました。それをうちのマネジメントの中で承認を取り、地権者の皆さんにも合意を取って、最終的に責任を取るのが私ということで、さらに高い山に登ろう!と再スタートしています。

2020〜2022年のコロナ禍はどのような状況でしたか?

INFIELD 小池:

あの3年間は政府からイベント自粛要請があり、3密回避のトレンドの中で、数字的にも非常に厳しいものがありました。それでも、今できることはなんだろう、次にくるものはなんだろうと、必死に対応策を考えて、柴﨑さんにさまざまな提案をさせてもらいました。

日鉄興和不動産 柴﨑:

私たちにとってありがたいのは、コロナ禍でも業界トレンドがどうなっているかとか、いろいろな情報を共有して最新の提案をもらえることなんです。具体的には3つの施策をやりました。

まず第一に2020年、コロナが始まった直後に、全室の家具や壁面にヘルスブライトという抗菌コートを安心安全のために導入しようと提案いただいたり。

第二に今後はONLINE配信需要の高まりの中で通信環境が大事になってくるから、ということでNURO(ニューロ)という高速通信サービスも提案いただきました。お客様が快適にインターネットを使えるようになるなら、それを全部屋に入れましょうと。現場で何が必要なのかを完全に理解するところまでいくのは難しいし、テクニカルな専門分野は分からないので、その辺りの知見はインフィールドを頼りにしています。これをするとお客様がこんな風に使いやすい、だから喜ばれるっていうのをしっかりとご提案いただいて、「よしこれで行くぞ」と導入を決めていくわけです。

そして第三弾としてアメリカ発のGBAC STAR(ジーバック スター)という公衆衛生認証を取得することで、お客様に安心安全をアピールしようという提案もいただきましたね。

INFIELD 小池:

コロナで稼働は落ち込みましたが、そんな中でもどうやってお客様を獲得していくか、安心して使ってもらえるか、というところで、一緒に取り組んでいただけたのが非常に心強かったです。普通は稼働が落ち込むと、なかなか投資するのは難しいのですが、でも復活を信じて、毎週の定例会で「一緒にやっていこう」と言っていただけるのが、本当に嬉しかったです。

定例会では、こんなことを共有してもらいたいと、逆に柴﨑さんからも具体的にリクエストをいただいてますよね。

日鉄興和不動産 柴﨑:

コロナ禍を乗り越えた今、私たちが地域を開発したり、いろいろなことをやっていく中で、このAICCにはさまざまなステークホルダーの方が来られます。テナントさんはもちろん大事なお客様ですし、ご近所の重要なお客様、例えばアメリカ大使館、虎の門病院、隣のオークラプレステージのテナントさんや、他にも政治家や皇族の方など、そういった情報を、インフィールドチームからタイムリーに入れていただけると、私たちはすごく動きやすい。すごくそれがありがたい。

ただ「こういう利用がありましたよ」と報告を受けるだけじゃなくて、逆に私たちもこういうことがあったら教えてほしいとお伝えすることで、お互いにキャッチボールのレベルや感度が上がってくるはずです。気が付かないと普通の顧客になってしまいますからね。

ビルとの連携強化で練度が上がるVIP対応

施設のグレード感やターゲットから、VIPの対応も多いと思いますが、どのような工夫をされていますか?

INFIELD 小池:

この土地柄、国会議員の方や大臣、皇族といった方々が来られるケースがかなりの頻度で発生します。車寄せから来場されて、ビル内のどのルートを通ってここまで来るか、みたいなビル共用部も絡めたお話は、ビル全体と緊密に連携しながら進める必要がある案件です。

柴﨑さんをはじめとして、ビルの皆さんが協力してくださるので、警察の方やSPの方が、「ここまでやってくれるならこのビルは安心できるね」となり、主催者さんも安心してリピーターとして利用いただいている。そこを一緒にやっていただいているのは本当にありがたいです。

ビルにご協力いただいてることはすごくたくさんあります。例えば、駐車場も本当は何台も止められないのですが、 何十台もタクシー呼んだりとか。

日鉄興和不動産 柴﨑:

そうだ、50台タクシー作戦。

INFIELD 小池:

ビルに協力してもらえなかったら、呼ぶことすらかなわないです。この港区の立地で、やり方を守ってもらえるならタクシー50台呼んでもいいですよ、という会場はなかなかない。例えばですが、ドクター向けの講演会は、終了時に、ひとり1台タクシーを呼ばれるんです。

日鉄興和不動産 柴﨑:

タクシー50台コントロールとかって簡単に言えるようになりましたね。もちろん駐車場とか、警備とか、ビルの管理チームの現場は大変になるんですけど。ただ、やってみてできるんだったらトレーニングを積むことになるから、防災センターも「なるほど、こうやる方がいいかな」と気付く。そうやってビルのみんなでやってると、ステータスが上がる感じ。「俺たちこんなコントロールしてるのよ」って。

もちろん責任を取るのは私だと思うんですよ。「誰かが責任を取ってくれる」っていう安心感がないと、気持ちよくチームのみんなが舞台上でダンスできないじゃないじゃないですか。なんか不安定な舞台だと踊りづらいなって思っちゃいますからね。こういう連携プレーで上手く踊れるようにやっていますね。

INFIELD 中村:

お客様からのイレギュラーなリクエストが日常的に発生しているAICCですが、そこは最初の「エベレストに登ると皆で決めた」という意味でも、我々運営会社も、ビル全体も、力を合わせて乗り切っていこうという勢いがあります。その中でも、柴﨑さんが力強いリーダーシップを発揮してまとめてくださるのは、いつも本当に心強く感じています。

日々のイレギュラー対応の積み重ねで、チーム全体のクオリティや提案の幅がどんどん広がっていきますね。どんどん改善していくので、精度が上がってきています。

日鉄興和不動産 柴﨑:

そう、精度が上がっている感じですね。先日、某大臣が来た時も、もちろん打ち合わせはしっかりやりましたが、当日は全然楽勝でしたね(笑)。

新規顧客を獲得し、リピート率を高める営業施策

開業から8年を迎え、稼働を維持しさらに高めていくための考えを教えてください。

日鉄興和不動産 柴﨑:

うちの会社はみずほ銀行グループで、もともとは日本興業銀行の不動産部的な立ち位置で始まった興和不動産という会社です。日鉄興和不動産には営業推進本部という部署があって、そこから銀行の全支店と連携して、そこの取引先に「こんな施設があるんですよ」とアピールしています。

新規のイベントがバンバンとそのルートから入ってくるかどうかは別ですが、AICCはある意味、彼らのリレーションを築くためのドアノックツールにもなっているんです。そこから別の話が膨らんで、別の商材の話になってもいいんですよ。そういった自分たちができる宣伝はやっていますが、どちらかというとアナログな営業スタイルですね。

INFIELD 小池:

WEBの施策やWEB広告など、新規獲得に関しては我々に一貫してお任せいただいています。例えば、昨年度はコロナ禍からの脱却の年ということで、高い目標を設定したので、新規顧客を今まで以上に獲得しないと厳しいだろうという見立てでした。柴﨑さんにもご相談して、広告費を追加でいただいたりとか、そういった施策をやらせていただきました。

日鉄興和不動産 柴﨑:

そうそう、12個の施策を提案してもらいましたね。新規獲得は圧倒的にWEBの方でと。

INFIELD 小池:

WEBの施策については常にやっていることですが、リスティング広告を打ったり、SEOの施策を行ったりしています。ただ、柴﨑さんがおっしゃっていたように、人海戦術で日鉄興和さんがアナログでアプローチしていただくお客様の決定率は、一般の新規ユーザーとは比べ物にならないんです。一般の方だと3〜4割の決定率ですが、日鉄興和さんルートで来たお客様は、来た瞬間から9割が決まってしまいます。

日鉄興和不動産 柴﨑:

数は少ないかもしれないけど、だんだん広がっていくんですよね。ドアノックをインフィールドに手伝ってもらうケースもありますね。すぐ近くに、オークラプレステージというビルがオープンした時には1社1社一緒に行きました。今思えば、忙しい中、本当に大変でしたね。

あとは、貸切学会などの大型イベントのご利用が終わった後日、主催大学に挨拶に行ったりもしていますね。三鷹の杏林大学さんの教授に一緒に御礼に行って。インフィールドの同行はとても助かります。

INFIELD 小池:

今お話にあった大学さんは、近視学会でご利用いただいたんですね。学会のご利用なので、3日間全館貸し切りとかで規模感も大きかった。一緒に柴﨑さんも御礼に行っていただいて、わざわざ会場側がお礼に来るとか、そういうことってなかなかないということで、教授にとても喜んでいただいて。結果として、また眼科の学会がリピーターとして来られるんですよ、同じ研究室で。そのような営業に一緒に行っていただいているんです。

INFIELD 中村:

我々もイベントが成功裏に終わって、その場ではしっかりご挨拶をさせていただくのですが、その後改めてお礼のご挨拶に行くというのは本当にレアなケースでして。しかもオーナーサイドからぜひ一緒にお礼に行ってくださいと声をかけてもらえるというのは、とても温かいというか、さらに踏み込んだ関係性をお客様と構築されようとしている、懐の深さをいつも感じていて、すごく勉強させてもらっています。

日鉄興和不動産 柴﨑:

本当にご利用ありがとうございます、という気持ちがもちろんあって。あとは、やっぱりAICCのファンを増やしたいんですよ。

最近、エリアマネジメントでみんなで良くなっていこうって意識を醸成していこうとしています。そんな中で、AICCを使ってくださる方は、皆さんものすごく感度が高くて、リテラシーの高い方が集まっているから、そこにアクセスすることでどんどんここのファンを増やしたい。ここのファンが増えれば、当社の中でもAICCってなんだ、と注目されるようになるんです。

日鉄興和不動産の経営陣も最初、「AICCって何?ただの会議室かな?」って思っていたんです。でもだんだん、上がってくるレポートを見て、「あれ?これすごいことになってるね」ってなってきています。ビルの収益としては、何十階もあるオフィステナント賃貸料の方が当然大きいですけど、そうでなくて、AICCを使ってる方々が、すごい会社が使っているねって。

そんなお客様に丁寧に感謝の気持ちをお伝えすることで、ここのファンになるし、この地域のファンにもなる。それがひいては、街のバリューを上げるんじゃないかなって思っているんです。微力ながらですけどね。だから、本当は全社員がそういう気持ちで動かなきゃいけない。なかなかうちの会社はそうじゃないでしょうっていう人もいる。だからこそウェーブを起こさないといけない。だから私は「ミッション・パッション・ハイテンション」と言って、意味はよく分からないですけど、チーム全体で盛り上げています(笑)。

改めて振り返る、
インフィールドに運営を任せた理由と今の評価

開業前、柴﨑さんの目線でインフィールドに運営を任せたいと思ったポイントは何でしょうか?

日鉄興和不動産 柴﨑:

ホスピタリティの高さですね。 1番最初に中村さんに他の施設でお会いした時に感じました。そこのいわゆる人間的な部分、大変アナログ的な話ですけど。中村さんと話して、インフィールドのホスピタリティとプライドを感じたんです。一生懸命説明してくれて、「おお、これはすごいな」と思ったんです。それを私以外のチームメンバーも感じた。

それで、帰る際にオフィスの前を通った時、「どうもありがとうございました」って私が言ったら、オフィスにいた小池さんが立ち上がってとても素敵な笑顔で「どうもありがとうございます」って返してきた。すごく印象がよくて、そういうことが、ものすごくファーストインパクトとして大事だと。要するに、人間力と、そのホスピタリティの高さ。単に、お客様が来ました、終わりました、お金払いました、ではなくて1番最初に感じたポイントとしてそれがありました。

INFIELD 小池:

私も、その時の皆さんのことは覚えてます。ただ挨拶しただけなんですけどね(笑)。

日鉄興和不動産 柴﨑:

プライドっていうのは、インフィールドの存在そのものが、そうだと思います。インフィールドがやるからこそ、こういう空間ができる。車と同じで、作っただけじゃ動かない。インフィールドがこの事業に誇りを持って、お客様のイベント成功に対するこだわりを実直に丁寧に積上げてやってきた経験に基づく提案を、実際に形にして、それを上手く動かしてきたことがインフィールドのプライドだと。

地域を開発するデベロッパーの観点から行くと、私たちもそのプライドを持って、オフィスや商業施設や緑地を作っていて、私たちはこういうことに自信を持って、誇りを持って前に出るんだってことを、インフィールドも感じてくれていると思います。お互いプロとしてね。

他の会社がダメっていう意味ではないんですが、インフィールドのスタイルは、真心や優しさが根底にある、独特のスタイルだと感じるんです。小池さんにも、中村さんにも、非常に高いホスピタリティに裏打ちされた独特の主張があるわけです。だから、ちょっと分かりにくいかもしれないけど、インフィールドの価値は、インフィールドの存在そのものなんです。それはすごく大事だと思うんです。インフィールドにはそういう方が多いと感じますね。

INFIELD 小池:

個性が強い人は多いですね。

日鉄興和不動産 柴﨑:

すごくパーソナリティが強いですよね。悪い個性じゃなくて、パーソナリティがめっちゃ光ってるというか。

開業前の高い期待に対して、現在のインフィールドの運営はあえて点数をつけるとすれば何点ですか?

日鉄興和不動産 柴﨑:

3万点ぐらいですかね。満点は何点か分からないですけど。全部が素晴らしいと言ってるわけではなくて、インフィールドのプライドと私たちのプライドの両方がぶつかり合って、良いものができていく。お互いが、ある意味ガチンコファイトクラブなんですよね。思いと思いがここにあるわけです。建物側としてはこうしたいという思いを持っていて、それに応えていただこうとする。

逆に、インフィールドに「中村さんを最初に訪ねた時、私たちから、最初に何を感じましたか?」というのを聞きたい。だって、運営する側だって、オーナーがやる気ないと、燃えないじゃないですか。逆にどう思われたか聞いてみたいです。

INFIELD 中村:

そういう意味では、御社のプライドというか、このプロジェクトにかける情熱はめちゃくちゃ感じましたね。本気で日本一の国際コンファレンスセンターを目指すんだと。そのための広大な共有部、ラグジュアリーな意匠、一見使いづらいけれど施設構成として欠かせないボードルームやアンフィシアターの施設構成など、挙げればキリがないくらい、この施設には情熱とロマンが詰まっているんです。

実施設計段階から参画した私たちからすると、その部屋構成は売りづらいですよと、正直に伝えて、もしも今戻せるのであれば、設計変更も含めて切り替えたらいかがですか?という提案はもちろんしてるんですけど、「いや、やるんだ、作りたいんだ」と。だから、そこの思いは本当にとても強くて。

そこまでおっしゃるなら、「インフィールドも覚悟を決めて、一緒に売ってみせます」と。じゃあどうやったら売れるか。さっきのガチンコファイトから、どんなクオリティでどこを目指すかというプライドがぶつかり合って、いろいろな議論をさせてもらいましたね。

ハード面では設計変更の猶予が限られる中で、全部屋iPad設備制御や特注家具の制作検討など。ソフト面でも、旅行業登録、英語人材の確保、軽食サービスのKIOSK(キオスク)企画など、本当にこだわりの議論は尽きませんでした。

語りきれない1個1個のこだわりがありましたが、それに燃えてくるというか、それを成し遂げて、高い数字に対しても、この高い山を登り切れるのは、やっぱり我々しかいないんじゃないかっていう、我々のプライドもありました。

日鉄興和不動産 柴﨑:

私がたまたま、このチーム全体をドライビングするマネジメントとしてやっていますが、このチームはどちらかというとサラリーマン的じゃない人が多いんです。私も割と会社員の意識が薄くて。会社というよりも、街づくりやそれにかける個人の思いが強いチーム。うるさいオヤジたちが絶対譲らないから、絶対こうするんだと。その強い気持ちの集団がひとつのチームになって、AICCを高めていってくれています。

INFIELD 小池:

ホスピタリティという部分では、やっぱり顧客満足度みたいなものにはすごくこだわりを持ってやらせてもらっています。イベントが無事に終わり、会場を使い終わった後にお客様が満足されて帰られる、みたいなところはスタッフ一同、特に気を付けてこだわっているポイントです。そういったサービスを行っています。

特に最近すごく力を感じるのが、このAICCでKIOSKというサービスをやってるんですね。飲み物とお茶菓子が付いている部屋があるんですけど、やはりその部屋を使ったときのお客様の満足度がすごく高くて。「KIOSKが付いているから、どうしてもこの部屋がいいんだよね」「AICCがいいんだよね」というようなお声がけもいただいたりですとか。

あと、KIOSKに限らず、どういった機材を揃えてるかとか。どんどん時代が新しくなる中で、柴﨑さんにもご協力いただいて、どんどん新しいものを入れさせていただいたりとか、そうするとやっぱりお客様が使って満足する。ハードもソフトも、トータルに満足いただけるように、チームみんなで考えていますね。

経年優化を目指す、AICCの設備更新提案

開業8年目を迎えて、AICCがさらなる価値向上を目指すために取り組んでいることは何ですか?

INFIELD 小池:

機材更新も力を入れてご提案している分野です。AICCは開業から8年目で、音響映像などに関しても、普通の会場さんだと、機材更新は投資も大きいからギリギリまで使おうとか、一部に不具合が見え始めたらまとめて新しいのにする?みたいなことが一般的かなと思うんです。

けれど、AICCはこれだけの施設なので、時代の先を見越して、トレンドに合ったもの、もっとグレードアップしたものを入れましょうという提案をさせていただいて。日鉄興和不動産さんも、「それやりましょう」と。お互いにプライドがあるので、お客様に1番良いものを提供しようというところが一致して、予算も入れていただいてますし。我々の方でも、もっと最適なものを更新しましょうっていう提案ができています。

機材更新で1番目に見えるものは、やっぱり映像関係ですね。プロジェクターがすごく明るくなったとか、はっきり見えるようになったとか、カーテンを開けていてもよく見えるとか。そういうのは、体験としてすごく分かりやすいと思うんですよね。 特にプロジェクターは、年数が経ってくると、どうしても昔の機材だと暗くなってしまったりというのがあるんですよね。

今回の機材更新では、会議室の音響映像をすべて一新します。ただ、8年前に導入した時のiPadで何でも操作できる仕様っていうのが、新しすぎて(笑)。大きな仕様変更はしないですが、それでもプロの制作会社の方でも満足して使っていただけるような設計変更は、いくつも入れて全体的にパワーアップしています。

イベントのクオリティを求めていらっしゃるお客様が、もし会場の機材で満足いただけないと、プロジェクターからマイクからスピーカーまで機材を全部持ち込んだりするんですよね。そうすると、何百万円も追加でかかってしまう。そうではなくて、この会場のこのスペックだったら、会場の機材で全然オッケーだ、みたいなふうに使っていただけると、じゃあもう1回使いましょうとリピーターになってくださると考えています。

INFIELD 中村:

我々も少しマニアックな会社で、映像、音響、照明の専門でやっていた、プロの人たちがいっぱい在籍しています。そこのトレンドに対してはすごく敏感ですし、毎年演出設備メーカーが開催している新商品展示会には必ず参加して、メーカーの最先端の商品の話をじっくり聞いてきたり、ショールームにも頻繁に足を運んでいます。

運営目線をしっかり持って、お客様の使い勝手とコストパフォーマンスの両方から、オーナーに対して設備投資の提案ができる、というのも強みのひとつかなと。

INFIELD 小池:

日々のご利用の中で、どんどんトレンドが変わっていくっていうのを感じているんですよね。お客様の声にすごく耳を傾けていて、お客様もそれぞれ一緒にやっているイベント制作会社さんは、やっぱり今一番いいものをやろうとしているプロの方々ですから。彼らがこういうイベントをやりましょうと提案した時に、それがきちんとかなう会場じゃないと、もう最初からその検討の候補にすら入らないわけですよね。

日鉄興和不動産 柴﨑:

VIP対応もそうですし、AICCでは新しいトレンドに対するトライアンドエラーが、もっとあってもいいんじゃないかっていう感覚があるんです。どんどんチャレンジしようと。

INFIELD 小池:

今年度はアンフィシアターという会場のリニューアルも提案させていただきました。もともと65席の部屋ですが、すごく特別感のある部屋で、「せっかくだから、もっとたくさんの人を入れたい」というお話は、ご利用のお客様からも、よくリクエストいただいていたので。

椅子を総入れ替えして、最大100人まで座れるようにしました。同じタイミングで、プロジェクターも明るいものに更新して、先ほどから話に出ているKIOSKのサービスも、もとは設定してない部屋でしたが、サービスを追加しました。これでアンフィシアターのリピーターになるお客様を増やせたらと思っています。

インフィールドの課題

インフィールドの課題や今後の伸びしろを教えてください。

日鉄興和不動産 柴﨑:

何か可能性を秘めているとしたら、私が感じるのは、イベントに来るビフォー(前)とアフター(後)の部分ですね。

このインターシティって元々、命名のベースは人とか物とか情報がインターする、いわゆる交わっていくっていうコンセプトとして始めたんですね。品川から始まって25年になります。「赤坂インターシティ・ホーマットバイカウント」も20年になる。可能性を秘めているというのは、コンファレンスの部屋ごとに皆さん来るけど、インターはしていない。交わっていないですよね。セミナーがあったら、この人とこの人、コミュニケーションせずに終わるじゃないですか。

イベントにはビフォー(前)があったり、アフター(後)もあるじゃないですか。他の部屋の人と一緒に何かが生まれるのか、そういう取り組みとかっていうのは、インフィールドから何か発案があったらいいなと思ったりします。

濃度を濃くしていきたいんです。魂のお付き合いのベースになる、そういう取り組みというか、企画がインフィールドから生まれてきてほしいなって。

INFIELD 中村:

元々は、AICCを運営するにあたって、そういう構想みたいなものはあったんです。使ってくださる方々が、サロンみたいなところで情報交換できたらいいんじゃないかとかっていう構想はあるのですが、なかなか実現するのは難しいんですよね。ゆるやかなつながりを深めるにはどうするか、交流に対するアンテナが高い人と低い人をどう混ぜていくか…。

交流のコンテンツとして、我々としては会場運営側で何かしら教育だったりとか学びの場のコンテンツを作って持てないかなというのも、興味がある分野です。それはオーナーさんとも話をしながら、いろいろな地方と連携して、何かここで座学をやって、現地に行って学んでまた帰ってくるだったりとか、そういうことを我々運営会社側が、オーナーやさまざまなワーカーに対して提供できないかと。

INFIELD 小池:

そうですね、柴﨑さんからその宿題をいただいて、いろいろ考えていたんですけれど。やっぱり今借りていただいてるお客様、主催者さんがいて、主催者さんのお客様をお招きする会場ということで、その主催者さんが主催している会を成功させるということに、我々はすごく日頃から特化していて。そこに対しての満足度については担保できていると思っているんです。

じゃあ課題として、それ以外に来場者の方であったり、もしくは主催者の方であったりに対して、プラスオンできるようなものを考えると、さっき言っていた満足度で言うと、期待している満足度じゃないところにあるものを探すことになる。一体どういうものが皆さまにとって良いのかなというのは、課題としていただいた時からずっと考えているんです。どうしても主催者さんに特化した企画になってしまったり、もしくは来場者の方だけに恩恵があったりみたいな。少し偏ってしまうので、どこが1番いいのかねと、そういうところはいろいろ話してますね。

日鉄興和不動産 柴﨑:

そうですよね。だって、みんながみんなつながりたいわけじゃないし、嫌な人もいますからね。

INFIELD 小池:

でも、ビルの企画で、ミュージックウィークという、オフィスエントランスとかでコンサートなどをやった時に、お客様が、「ちょうど今そこでコンサートをやっていて、すごくいい日に来ました、私は」みたいに言ってくださる方がいて。なんかそういうのを聞くと、嬉しくなりますよね。そういうことなのかな、とも思う。

日鉄興和不動産 柴﨑:

リアルの訴求力がすごくて、コロナの時って画面上でお付き合いしてるじゃないですか。だからこそ今、直接会うってことの価値がすごくて。主催者がイベントをAICCでやったときの訴求力を測れないかって話がありましたよね。どう測るかもちょっとテクニカルには分からないですけど、そういうことってなんか面白いなと思って。そういうのも将来的にできると楽しいですよね。

赤坂のエリアマネジメント構想

赤坂インターシティコンファレンスの未来のために、今後取り組みたい施策などを教えてください。

日鉄興和不動産 柴﨑:

今、ダイバーシティ&インクルージョンの時代が来ている中で、都心のエリア単位でさまざまな街づくりが進んでいます。丸の内や日本橋がいい例だと思います。

私たちは赤坂をベースに生きてきたんですが、このAICCの窓から見える範囲でもいろいろなステークホルダーがいるわけです。街に起伏がある。オフィスビルだけではなく、病院もあるし、大使館もある。外国人が住んでいたり、世界一の医療を目指す虎の門病院があったり、世界一のホスピタリティを目指すホテルオークラさんがいたり、世界の芸術が集積するサントリーホールとか、まさにそういう方々の中にあるんですよ。

単体で建ってるわけじゃない、そういう「面としての多様性」がある。AICCは2017年に開業しましたが、来年、2025年には虎ノ門アルセアタワーというビルがオープンする予定で、私もマネジメントに入りますし、当然インフィールドも一緒にコンファレンスをやるんです。その他、隣のビルを建て替えたりとか、いろいろな再開発を検討している。その連鎖的な再開発の中に、多様性を受け入れて生かせるものを見出したいと思ってるんです。

多様性って何なのかという話になったときに、ひとつのブレイクダウンの中で、例えば、虎の門病院に来る方、お年寄りとか、ハンディキャップを持った方、目が不自由な方とかが、気持ちよく駅から移動するのはまだ難しかったりするじゃないですか。でもハンディキャップのある方も、小さいお子さんも、高齢者の方も、エリアとして犯罪の恐怖もなく、安心安全な場所としてみんなが自由に過ごせる街、そんな街を赤坂のステークホルダーの皆さまと一緒に作り上げたいなと思っています。

その中にコンファレンスもある。そういう地域のエリアマネジメントを目指したらいいんじゃないかと。いろいろなこと言ってるんですけど、なかなか実現するのは難しくて。それでも、少しずつ少しずつ、関わる人がそれぞれに多様性に向かって努力している街、それを演出していくのは日鉄興和であり、赤坂インターシティーマネジメントで、そのコンファレンス、最たるものがここにあるっていうのがエリアマネジメントとして最先端を行けたらいいなと。

エリアマネジメント構想の中で、インフィールドにはどんな役割を担ってもらいたいですか?

日鉄興和不動産 柴﨑:

インフィールドには、それはもうホスピタリティのハブになってもらいたい。AICCにいらっしゃる方々全てを優しさでつなぐハブ。例えば、すぐ目の前の虎の門病院の看護師とか職員さんは年間200人ぐらい入社される。そして、その新人研修をAICCでやっているわけです。そうすると、全国から就職してきた新入職員の親御さんは心配していたりするわけです。でも、「こんな良いところで研修受けてるよ、頑張るね」みたいなやりとりがあって、親御さんも安心できる。そうやってエリアで貢献できる、つながる、というかね。

その中心のハブとしてインフィールドのホスピタリティがあって、心温まる優しいサービスがあるからみんなここに集まってくる。それによって、どんどんエリアに良いウェーブが起きる。そのためにも、インフィールドのコアの価値は変えないでいくしかないですね。私たちも含めて、だんだん時間が経って変わっていっちゃいけない。

INFIELD 中村:

そうですね。私たちの会社の変えちゃいけないことがあると思っていて。人も変わっていくし、時代も変わっていくので、変わらざるを得ないことはあるんですけど、柴﨑さんにご評価いただいてるホスピタリティと、それを守り続けるインフィールドプライド、その2つをしっかり担保できるような会社であり続けるというところは、変わらずにやっていきたいです。

日鉄興和不動産 柴﨑:

この街ってみんなが優しくて、健やかに過ごせる。そこに高齢者の方もハンディキャップのある方もどんどん外に出てきてほしい。そうすると居心地いいじゃないですか。その見えない、測れない価値をインフィールドは分かってくれていると心から感じています。

ホスピタリティというエモーショナルな部分、優しさとか、健やかさとか、そういった魂に響く測れないものがあるインフィールド。それはお客様に伝わり、街に伝わる、と思っています。

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